ご挨拶
第62回建築士会全国大会「北海道大会」主管
一般社団法人北海道建築士会 会長
高野 壽世
みなさま、今年の建築士会全国大会は、いよいよ北海道であります。
北海道は、大きく括ると、道央、道北、道東、道南の4つのエリアに分けられます。
そのため、全国大会北海道大会については、それぞれのエリアで開催し、全国のみなさまに北海道の魅力をご紹介できればと考えておりました。
今まで、道央の札幌で2回、平成に入りますと、1993(平成5)年には道北の旭川、2007(平成19)年は道東の帯広で開催しており、残るエリアは道南となっておりました。
そして、12年ぶりとなる全国大会北海道大会は、みなさまのご期待通り、道南の地、函館において開催の運びとなりました。
昨年は北海道命名から150年の年でありましたが、北海道でも、道南の函館、松前、江差の地はひときわ早くから開けたところで、1400年代に建立された社寺仏閣も点在しております。
また、ニシン漁で繁栄し、北前船の行き来していた時代には「江差の五月は江戸にもない」と言われるほど多くの船や人で賑わったようであります。
江戸時代の末1859年には、時代の大きなうねりの中、函館は横浜、長崎とともに開港し、歴史的にも重要な舞台となった地であります。
その後、札幌にその地位が移行するまで、北海道の中心として繁栄してまいりました。
わが国では、少子高齢化による人口減少が、全国各地で空き家やシャッター商店街など市街地の空洞化に拍車をかけ、地域活力の低下と景観の崩壊の要因となっております。
北海道の中核都市である「函館市」もその例外ではありません。まだ地域の地力のある今こそ、そこに住まう人々の心豊かな暮らしにそうような、これからの「まち」や「地域」のありかたを考え、そのことにどのように関わっていくかが、私たち建築士の大きな命題となっております。
今大会は、開拓時から培われたフロンティアスピリットのもと、新しい文化や技術を受け入れてきた函館の地で、北と南、地方と都市、日本と世界など、さまざまな文化や歴史が交錯するなか、それぞれを尊重し、ときには複雑に絡んだ事象を紐解き、組み直しながら、まちの「再生」から「創生」と続く、輝く未来への物語を考える大会にしたいと思っております。
是非とも、多くのみなさまがお誘いあわせのうえ、函館においでくださいますようお願いいたします。